環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2013年5月23日木曜日

大工の差金(サシガネ)

先日、木族ネットワーク2013,木造建築に関わる設計(デザイン)講座に参加した。

大工棟梁の苔原さんも来られていて、伝統的な貫や屋根の納まりについて、原寸大のモックアップを交えて実践してくれた。

特に僕が興味深かったのは、木組みの屋根。
例えば、3寸勾配(約17°)の角度で屋根がかかる場合、隅木(*1)は、もうちょいと角度が緩くなる。
桁や垂木、母屋・隅木等の木材は「噛み合わせ」て組むから、角度が複雑になると刻みはさらに複雑になる。

設計はパソコンがあるから、コンピューターで角度や長さは”チャチャッ”と出るけど、大工さんは、差金(サシガネ)一本でそれをやっている。
不思議でしょうがなかった。

以下解説。
話はややこしくなるので原理だけ言うと、
差し金には表目と裏目があって、裏目が√2倍で目盛りが刻んである。
「表目」での垂木の長さと角度を出して、「裏目」で隅木の長さや角度を出す。
45°で交わる垂木隅木は、表目・裏目を組み合わせて、”チャッチャッ”と角度と長さを決めて、墨付け(*2)が出来ると言う訳。
以上が原理で、その組合わせを複雑にすれば、屋根架構の墨付けは出来ると言うことだ。
 画:hiromichi yasuda

(*1)垂木方向に対して45°に取付けられ角に向かう部材
(*2)材料を加工する前に、墨つぼと墨さしを使って木材に印を付ける作業。


0 件のコメント:

コメントを投稿