環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2013年3月29日金曜日

最高の二世帯住宅をデザインする方法

今度、エクスナレッジから「最高の二世帯住宅をデザインする方法」がでた。
ずいぶん前から横浜の建築仲間と共同で作ってきた本。
やっと店頭に並ぶ事になった。

印象に残っているのは、名作と言われる二世帯住宅を見に行った事。
高橋公子+鷹志さんの「管の家」と、室伏次郎さんの「北嶺町の家」

どちらも築30年以上の住宅で、建売り住宅だと取り壊されてもおかしく無い年。
勿論、この二つの住宅は今も存在している。 

見せて頂いて感じたのは、断熱性能や気密性能は今の住宅のほうが俄然良くなっている。
建物の精度も今の住宅の方が良くなっている。
にも関わらず感じたのは、断熱や気密、性能、精度だけでは図れない空間の快適性だった。

これは数値化出来ないし、その場で体験しないとわからないけれど、確かに存在するその「快適性」を作るのが建築家の仕事なんだろう。
画:hiromichi yasuda







2013年3月26日火曜日

Sセンターの改修が終わって

Sセンターの改修工事が終わった。

今回の設計では、トイレでちょっとした工夫をしている。

例えば、経験上、床・壁・天井を白くしても、家具に赤いものを入れると、壁も天井も、うっすらと赤みを帯びる。

今回、それを使って、男女の色分けをした。
簡単に言うと、壁・天井は同じ「白」だけど、トイレブースと床の色を、薄桃色(女子)と、水色(男子)に使い分けいる。その色が壁と天井に反射して、外から見て一目で「男・女」がわかるトイレを作った。

なかなか上手くいった。
写真:hiromichi yasuda


2013年3月23日土曜日

木材の魅力・・・縄文的・弥生的

友人が、設計事務所のイメージビデオを作ってくれる事になった。
完成が楽しみ。

ところで、過去の画像データを探していると、秋田に木材視察に行った際に見た原木のスライス写真が出てきた

僕は、どちらかと言うと製材して角がビシッと決まっていて、しかも癖がない正目を好んで使うけれど、当時見た原木には、独特の迫力があった。
原始的というか、生の魅力というか。
柾目の製材木材が弥生的とするなら、こちらは縄文的と言うか。

生活空間に使うには少しワイルドな感じもするけれど、どこかで使いたいと思っている。
写真:hiromichi yasuda

2013年3月22日金曜日

いちごの鉢植え

事務所に花でもあると気分も違うだろう・・と思って、先日近くの花屋に行った。
(事務所にはお客さんも来ることだし)

イイ花がなくて、あれこれ探していると、ふと目に留ったイチゴの小さな花と実。
実は一つだけで、あとは白い花が数輪咲いていた。
お店の人が、「イチゴの花ですよと。雄しべをちょっちょっと触れば、イチゴが実りますよ。」と教えてくれた。

花は、お世辞にも観賞用とは言えないけれど、まあイチゴが成るなら380円は高く無い・・・とその場で買った。

言われた通り雄しべを指でちょっちょっと触っていたら、その効果があってイチゴが実った。

花が終わっても実がなる。しかも部屋にはイチゴの香り、というおまけ付き。
画:hiromichi yasuda





2013年3月20日水曜日

夜学校みたいな雰囲気のレクチャー

ここのところ、黄金町で行われた「美術の歴史」のレクチャーに2度参加した。
レクチャーというか・・・十数人規模で「夜学校」みたいな雰囲気だったけど。

講師は天野太郎さん(横浜美術館)と、村田真さん(美術ジャーナリスト)でどちらも面白い話をしてくれた。
10代の女性から(たぶん)60代?の女性まで、老若男女問わず話を聞きたい人が集まっていた。

江戸時代に伊藤仁斎(儒学者)が古義堂という私塾を立上げて、お金をもらって儒教を教えていた、と聞いた事がある。
学びにくるのは、一通り「遊び」(酒・女・博打)を経験した高齢の商人とか、若い青年とか、農民も遠くからやってきたそうだ。
みんな、知識を得て、認識を新たにするのが楽しくて、私財を投じて学びにきていた。
「こんなに学問が楽しいとは・・・今までの「遊び」はなんだったんだ!?」と、
多くの人が遠くから集まって、みんなとても熱心だったらしい。

「知」とは、そもそも楽しいものじゃないか、認識を新たにするのは喜びなんじゃないか・・・と思う。
今の「学校制度」になると義務のように感じてしまうけど、人が学びたい知りたいと思う源には、好奇心と充実感があるんじゃないか・・と。

黄金町でやった二つの「美術の歴史」の講義を聞いて、学ぶ事の楽しさと共に、学校の「原型」を感じた。
画:hiromichi yasuda



2013年3月18日月曜日

重なる時は・・重なる

先週末、高校の同級生の何人かと逢った。

それぞれ違うシチュエーションで3回(のべ6人と)逢った。
たまたま・・・ホント、偶然なんだけど・・・・こういうのは重なるんですね。

経緯はそれぞれなんだけど、何となく共通するのは、皆、横浜(近辺)に来る用事があって、それじゃあってことで、声をかけてくれたみたい。

去年の高校の同窓会に参加していなかったら、みんなとの繋がりが生まれなかったかもしれないし、今回友人と逢うこともなかっただろう。
縁があったというか、そういう巡り合わせだったというか。

食事をしながら仕事の話やプライベートの話をして、お互いに「今はどうなんだ?」と近況を報告する。
楽しくもあり心地よい時間だった。・・・・・どうもありがとう。

画:hiromichi yasuda







2013年3月17日日曜日

緑のマフラー

先日、友人と行ったインド人のカレー屋さん。
事務所に近いので、ちょいちょい食べに行ってて、インド人の店員さんとは顔なじみである。

久しぶりに訪れると、そのインド人の店員さんが、緑のマフラーを持ってきて、
「オキャクサンノ、マフラーデハ、ナイデスカ?」

・・・?
おっ! おお、出てきた!
しばらく、四次元ポケットに消えていたマフラーが、インド人のカレー屋さんから出てきた。

もう戻ってこないだろうと半ば諦めていたから、小さな感動を覚えた。
インド人はイイ人だな〜。
「どうもありがとうございます」、反射的にお礼の言葉が。

ちょっとカレーの香りがしたのは言わなかったけど。
画:hiromichi yasuda




2013年3月14日木曜日

友人が来ておしゃべりしたこと

同級生だった友人が事務所に来た。
そろそろ人生半分、これからの生き方どうしようか相談するようなされるような。
今の自分の身の上話をするような意見表明のような。
お互いに聞いたり聞かれたりして、あっという間に時間が過ぎていった。

話変わるけれど、昔読めなかった本が最近読めるようになった。
学生時代から小林秀雄が好きで著作の殆どは読んでいるのだけれど、何故か晩年のものは読めなかった。特に最晩年の「本居宣長」は、10ページぐらい読んでは面白く無いと思ってほったらかしているうちに月日が過ぎて・・・みたいな事を4.5回くり返した。

ところが、最近、本の内容が少しずつ入ってくるようになった。
作者の心情というか気持ちというか、・・・恐らく、読めなかった時期と今の僕とではモノの感じ方が変わって来たのだろう。

同世代で話が弾むのは、・・・たぶん、年齢を重ねているが故の感受性や表現の仕方が、どことなく腑に落ちるからだろう。

2013年3月13日水曜日

横浜中央病院

最近、頻繁に[横浜中央病院]の前を通る。
と言っても、病院に通ってる訳じゃなくて、すぐ近くに設計監理をしている建物があるからだ。

この横浜中央病院というのは、山田守(建築家)設計で1960年に竣工している。誰でも知っているところでは、東京の武道館とか、京都タワーとか設計したのが山田さん。

この病院、1960年竣工というから・・・もう半世紀以上経つ事になる。
にも関わらず、外観がとてもきれいで、通るたびに清々しい気分になる。
勿論、僕の一生より長く生きている訳だからそれなりの古さはあるのだけれど、外観に清潔感があって大切に使われているのかよくわかる。

建物を大事に思う心とメンテナンスがしっかりしていれば、50年経っても美しい。むしろ新築ピカピカの建物にはない「気品」のようなものすらある。

今度、病人のふりして、中も入ってみよう。
写真:hiromichi yasuda

2013年3月12日火曜日

外出に戸惑う季節

何故、春の最も気持ちの良いこの季節に、杉は花粉を飛ばすのだろう?
神も仏もあったもんじゃない・・・
と、ついつい愚痴りたくなるこの季節。

花粉症が世の中に認知され始めた黎明期から、かゆみ、くしゃみ、鼻水につきあってきたから、もうベテランの粋に達している。

この世に「天の声」があるとすると、この季節は「外に出よ!」と言っているのか、「出るな!」と言っているのか・・・・・う〜ん、誰か教えて。

画:hiromichi yasuda


2013年3月11日月曜日

岩﨑暢さんの写真展

岩﨑暢さんの写真展(ペイルルバード-Seaside Town Vol.2-)を見てきた。

Vol.2という通り、今回が2回目の写真展だった。
1回目は場所も同じ黄金町。

昨年、道路の先が浸水したままのパースのある写真(リーフレット)を見て、なんとなく気になって、それから展示会場が事務所から近い事もあって足を運んだ。
その写真は、震災後の大槌町で、岩﨑さんの故郷ということをその場でご本人から聞いた。
それが1回目の写真展だった。

今日は、たまたま会場の前を通りかかった時に、写真展がある事や今日が3.11だったことなどいろいろ気が付いて、自然と会場に入って行った。
(会場の前を通らなかったら違う事を書いていたかもしれません)
ご本人と再会したら、岩﨑さんは昨年も僕が来た事を覚えていた。

1回目の写真展が昨年の[今頃]と知って、もう1年経つの? と驚いた。
と同時に、今日という日に、再び岩﨑さんの写真を見る事になって、なにか不思議な[縁]を感じた。

岩﨑さんの写真は、未だ荒野の土地や、更地の工事現場が淡々と撮影されていた。
写真:toru iwasaki


http://imaonline.jp/ud/exhibition/513425b11e2ffa7acf000003
開催日:2013.3/5 - 2013.3/16 

開催地:mujikobo
フォトグラファー:岩﨑暢








2013年3月10日日曜日

リコーのカメラ

デジタルカメラはリコーのGX200を使っている。
もう数年前に製造中止になったけど、気に入っていた。

先日の事、目の前に現れたシャッターチャンスに、慌てて鞄から取り出して撮影しようとしたら・・・・滑って落してしまった。

床に叩き付けられたカメラは、レンズ廻りが縒れ曲がり、カバーのプラスチックが割れて内部が露出。メインスイッチを押しても制御不能となる。

あっちゃー。。。。。
・・・・・・・・・・
覆水盆に返らずと言いますが・・・
後悔先に立たずといいますが・・・
なんとも・・・いや〜な気分・・・

恐る恐る、曲がったレンズの筒?をグイッと押すと・・・すんなり元の位置に。ん?
メインスイッチを入れると、モーター音がしてレンズが収納された。何事も無かったかのように。

結局、ピントは合うし撮影も可能。・・・・外見はちょっと「キカイダー」みたいになっちゃったけど、GX200はしたたかだった。

画:hiromichi yasuda











2013年3月8日金曜日

物忘れ

今日はポカポカ、暖かい日だったので、
マフラーをしなくても大丈夫だった。

僕は、3本の色の違うマフラーを持っていて、取っ替え引っ替えその日の気分で使い分けていた。
この時期、三寒四温と言うけれど、暖かくなったり寒くなったりして、マフラーをしたりしなかったり。

最近気が付いたのだけど3本あったうち2本が見当たらない。
自宅に居るときは、事務所にあるんだろう・・・事務所に居るときは、自宅にあるんだろう・・・・と、しばらく放っておいたら、結局どちらにも…ない。

どこかに置き忘れたのだろうけど、記憶に・・・ない。
いつ無くしたかも、わから・・・ない。

元々モノを無くすタイプだったけど・・・・

斎藤茂吉にこんな歌がある。
「日に幾度にても眼鏡をおきわすれ、それを軽蔑することもなし」

そうはおっしゃるが・・・・


画:hiromichi yasuda





2013年3月6日水曜日

確定申告ー喜ぶべきか悲しむべきか

今日は税金の話。

個人経営者にとって、そろそろ確定申告の時期。
最終日(3月15日)に近くなると混むので、今日、申告してきた。

今回は、源泉徴収(*)の対象となる仕事が多かったので、既にかなり納税してある。

総売上から必要経費を引くと、事務所の利益になるのだけれど、
(総売上)ー(必要経費)=(利益)

利益が少ないほど源泉徴収で引かれた(あらかじめ払っている)税金が帰ってくる。
それを還付金という。
(源泉徴収[見込の税金])ー(必用納税額)=(還付金)

5月から6月頃に還付金として戻ってくるのだけれど、これが今年は多い。

思わぬ収入に、ワ〜イワ〜イと思ったが・・・・・
よく考えてみると、単に利益が少なかったってことか?
喜ぶべきか、悲しむべきか・・
・・・・・
あちゃ。


画:hiromichi yasuda



*Wikipediaより。
源泉徴収(げんせんちょうしゅう)とは給与報酬などの支払者が、給与・報酬などを支払う際にそれから所得税などを差し引いて国などに納付する制度である。主に個人に対しての支払金額が対象となる。


2013年3月5日火曜日

埼玉に行くと思う事

先日、埼玉に出かける事になった。
目的地は、与野本町(埼京線)だったのだけど、東京から埼玉に出ると必ず同じ事を思う。

それは、東武東上線だろうと東武伊勢崎線だろうと同じで・・・・

東武伊勢崎線から見る風景は典型的で、
北千住を出ると、低層の密集した木造が並んで、高架から見下ろす風景はどこまでも住宅地である。
しかも、遥か彼方まで・・・た・い・ら。

これが、 関東平野なんだな〜〜と。

同じ事が思い浮かぶのはそんな時で、ここは街にするより畑にした方が自然じゃなかろうか?家を造るより、トウモロコシかタマネギでも作ってた方がずっといいんじゃなかろうか? と。

別に腹が減ってる訳じゃないんだけれど。


画:hiromichi yasuda








2013年3月4日月曜日

建築家の槇文彦さん

先週の土曜日、JIAセミナーで槇さんの講演会があった。実行委員として4年間務めた、JIAセミナーの最後の企画だった。

槇さんは、1928年生まれだから、もう84歳。丁度僕が学生の頃、青山のスパイラルビル、東京体育館、幕張メッセと矢継ぎ早に話題性のある建築を作っていて、現在でも現役で設計活動を続けている。今更ながら月日が経つのが早いと思った・・と同時に本当に息の長い建築家だなと思った。

セミナーでは、槇さんの人柄というか、建築家としての姿勢に改めて懐の深い人間性を感じた。

建築をやっているといろいろな苦難があるのだけれどそれをあまり感じさせないし、自分の功績を誇張する訳でも無いし
時代の流れに抗するのでもなく、呑まれるのでもない。いつも自然体で対処できたのは、心の軸がしっかりしていたからだろう。

槇さんは、今も建築(空間)に対する好奇心を失っていない。以前、このブログで、槇さんの階段は昇ってその先に行ってみたくなる階段だから好きだと書いた事があるけれど(好きな階段と、そうでない階段)、槇さん自身がこの先の建築に何があるか?今もその好奇心を失っていないように感じた。

槇さんの階段には、槇さん自身が映っている。
画;hiromichi yasuda

2013年3月1日金曜日

オープンハウス

建築の世界では、新しい建物が完成すると「オープンハウス」というのをやることがある。

「お披露目」という意味で、新しい建物をみんなに見てもらうことである。

お施主さん以外にも、建築家、工務店などがお施主さんに了解をとってやるのだけれど、仲間内では今回のキッチンはいいね、とか、造作は丁寧に作ってるけどどこがやったの?とか、新作の批評をしたり情報交換をしたりする。

先日、友人建築家の住宅が完成したと聞いて渋谷まで見に行った。
とても良く出来ていて関心したのだけれど、それ以上に見学者が多くて驚いた。

同業者から後輩、教え子、雑誌の編集の人など、知っている顔ばかりで、建物を見に来たのか、挨拶をしにきたのかわからない雰囲気になる。

ま、でも、こうして新旧の知人に会うことも、オープンハウスの楽しみの一つである。
画:hiromichi yasuda