環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2015年12月29日火曜日

年賀状を出し終えて・・

年の瀬の29日、年賀状にコメントを書いて横浜中郵便局に出して、、、それが今年の仕事納め、となる。

いろいろ有ったけど、総じていい一年だったと思う。
時間に余裕があったぶん、本を沢山読む事ができたし。

大震災以降、仕事の方向性が見え難くなったけれど、
本を読んだりして月日を重ねることで、これから何をすれば良いか、ぼんやりとではあるが輪郭が見えてきた気がする。

来年はまた新しい仕事が始まる。
今年一年、いろいろとお世話になったみなさん、
どうもありがとうございました。


画:hiromichi yasuda

2015年12月25日金曜日

ノロウィルス

どうやら、ノロウィルスにやられたようだ。
急に気分が悪くなったと思ったら、しばらくして今度はアレ。トイレに駆け込む。
あとは、野となれ山となれ・・・・

結局、2日間、ほとんど水だけ、体重も3kg減った。

しかし、腸の中から一切ものが無くなると、それなりに悪くない。
3日目の朝は、スッキリしたお腹に、吐き気も治まって、サッパリした朝だった。

12月は、牡蠣が美味しい季節。
みなさん、気をつけましょう。
画:hiromichi yasuda

2015年12月21日月曜日

姪の住宅・地鎮祭

姪の住宅(*1)の地鎮祭が、静岡で行われた。

地鎮祭には大人に交じって、2才になるちびっ子(姪の娘)も参加。
彼女にとっては勿論初めての地鎮祭である。
最初はジッとして、神主さんの様子を観察していたが・・・

そのうちに、神主さんや大人のマネを始めた。
神事の様子を見て祭壇にむかって手を合わせて叩いたり、鍬で土を鋤くのを見て、近づいていって自分も鍬を持とうとしたり。
それぞれの振る舞いにどんな意味があるか解らない(と思う)けど、とにかくマネてみる。(実際、大人にも解らないところだらけではあるが・・・)

よく言われるように「学ぶ」の元々の意味は「マネる」だったというけど、子供を見てると、「学ぶ」と「マネる」が未分化な感じ。
でも、これが「覚える」ことの起源なんだろう。

*1 設計:環境デザイン・アトリエ 施工:三和建設
画:hiromichi yasuda

2015年12月19日土曜日

FCバルセロナとスタジアム

バルセロナにはガウディのサグラダファミリアがあったり、ミースのバルセロナパビリオンがあったりして、建築では有名な街である。
でも、今日はサッカーの話。

今、世界一のクラブチームを決める試合を、新横浜の日産スタジアムでやってる。
チケットが一枚余っちゃったんで・・と、当日の朝、FCバルセロナ対広州恒大の試合に誘われた。たまたま僕が横浜に住んでるって理由で。
ひょうたんから駒で、夕方から日産スタジアム

ナイターの試合は、スタジアムに入る瞬間が建築の醍醐味である。
日産スタジアムですら(・・失礼)、コンコースから、スタンドに入る瞬間の高揚感がいい。
スタンドに入ると、ワッーと視界が広がって、ライトに照らされたグリーンは鮮やかだ。
否が応にもこれから始まる試合の期待が高まって、建築がその演出に重要な役割を果している。

試合は、メッシもネイマールも出なかったけど、スアレスがハットトリックを決めて、バルセロナの勝ち。スピード感のあるいい試合だった。

画:hiromichi yasuda

2015年12月13日日曜日

ガラポン抽選会

商店街では、いよいよ年末商戦。
この時期ではどこの商店街でもガラポン抽選会をやっている。
僕も、横浜の地下街ジョイナスで食事をして抽選補助券をもらった。

抽選会場に行くと、列に並んだ人たちが次々と大きな六角柱のガラガラを回転させて、ポンと玉を出している。
目の前には「一等ホノルル5日間の旅」なんてポスターがある。

最初は大して興味も無かったのだけど、こんな大きなポスターを前にしてガラポンを廻す人々を見ていると、徐々に根拠の無い期待が高まってくる。
(欲に弱い人間の性ですかね・・・)

いよいよ順番が来たので、一呼吸おいて、気を沈めた後、ゆっくりハンドルを回す。
ガラガラ・・・ポン。

見事、6等、ポケットティッシュ。
画:hiromichi yasuda



2015年12月8日火曜日

記録帳の効果

以前、仕事で、メモ用にノートをつける習慣をつけた、と書いた。
(ノートの活用)*1

これがなかなか良くて、最近は本を読んだり講演を聴いたりした時にも、できるだけノートに記すよう心がけている。

備忘録や、内容を記憶に定着させる学習効果を期待して始めたのだけど、
意外と、漢字の書き取り練習になっている事に、気が付いた。

*1ノートの活用

http://kannkyo.blogspot.jp/2015/01/blog-post_17.html
画:hiromichi yasuda

2015年12月3日木曜日

活動人口とは?

昔、経済学の本を読んだ時、好況・不況の話を、急行電車と鈍行電車の例えで説明していた。
仮に山手線に急行と鈍行があったとして、急行だと30分で一周して鈍行は1時間で一周するとする。それぞれ1台づつしか走っていないとすると、東京駅で待っていると急行は一時間に2度来るのに、鈍行は1度、しか来ない。
同じ、1台なのに。

お金の総量が同じなのに好況時にはお金が沢山あるように見えて、不況時に足りなく感じるのは、お金の回るスピードが違うから・・・という話だった。*1

先日、山崎亮さんの本を読んでいたら、「活動人口」という言葉が出てきた。
人口減少社会で、町に活気をもたらすのは「活動人口」(地域が元気になるための活動に参加している人の数)を増やせばいいという話だった。

「定住人口」が減っても「交流人口」が増えたら・・・家から街に出て活動してる人が増えたら →→・→ その街は賑わってる、ように見える。
なるほど。

*1 
http://kannkyo.blogspot.jp/2012/09/blog-post_30.html

画:hiromichi yasuda

2015年11月29日日曜日

鴻池朋子さんの「根源的暴力」展の話

何とも刺激的な題名の展覧会だった。(*1)
恥ずかしながら、鴻池さんの作品も彼女自身も知らなかったのだけど、その作品には、ちょっと圧倒された。

いったい、これは何?
動物の皮をキャンパスに描いた獣の絵画、臓器のような不気味な彫刻の数々。
感情に強く作用するけど、モヤモヤとなかなか言葉にならない。
これだけの力作を前にして、なんとももどかしい。

多くの来館者がいて、その中に著名な批評家の東浩紀さんがいた。
(僕も、何冊か本を読んだ事がある)
一枚の絵を前に、小声で娘さんに説明をしていた。
家族連れのプライベートな鑑賞だったみたい。

そ〜っと近寄って聞き耳をたてたら、小学生にもわかるような言葉でとても解りやすい説明をしていた。
フムフム・・・・
東さんが次の作品に移動すると、気が付かれないように、僕もそ〜っと付いていった。。。

画:hiromichi yasuda

*1 

鴻池朋子展「根源的暴力」

場所:神奈川県民ホール
会期: 2015年10月24日(土)~2015年11月28日(土) 




2015年11月24日火曜日

日曜日の使い方

ここのところ、日曜日といえども出張とか先送りした仕事の為に事務所に行くとか、何かに追われてる感じだった。

久しぶりにこの前の日曜日は、ゆっくり過ごした。
お昼頃からモソモソと出かけて、本屋さんを複数まわって、新書や気になった本を数冊買って、最後にドトールに寄る。
散歩中決った電柱で止まる犬みたいに、立ち寄るのはだいたい同じ本屋。
締めのドトールでは、コーヒー飲みながら買ったばかりの本を読む。
気が付くと、外は暗くなっている。

とまあ、こんな日曜日が・・・至福の時間。
画:hiromichi yasuda

2015年11月19日木曜日

自転車自慢

犬を飼っている人のコミュニティというのがあって、よく散歩途中で飼い主同士が会話しているのを見かける。
何故か上品な犬の飼い主は誇らしげで、そうでもない犬の飼い主は恨めしそうで・・・

先日、自転車で高架橋のEVに乗った時、同じく自転車で乗り込んできたおじさんに、声をかけられた。

「いい自転車だね〜」
「速そ〜だね〜」
「後ろから見てたけど、エレガントだね〜」
・・・・・・」
「いい自転車だね〜」
3回ぐらい「いい自転車だね〜」って言っていた。

ママチャリの、おじさんだった。


画:hiromichi yasuda

2015年11月15日日曜日

フランク・ゲーリーの展覧会

ゲーリー(*1)の展覧会を見てきた。
評判に違わず、面白かった。

興味深く感じたのは、映像で、ゲーリー事務所の建築の作り方を説明しているコーナー。

コンピューターを駆使して、建築材のパーツの隅々まで管理する事で、大幅にコストを抑えているとの事だった。
デザインを実現するためにコストと格闘するのは、僕ら設計者には付いてまわる課題だけど、なるほど、ここまで徹底管理すれば、可能なのか・・・・ふむふむ。。。
(しかし、スゴい)

ゲーリーの建設アイディアを見ていて、突然、ルネサンスのブルネレルキ(*2)が頭に浮かんだ。
ブルネレルキは、当時難しいと思われた建設課題を技術提案によって次々に解決していった人。

どちらも、デザインを支える建設システムまで翻って「デザイン」している。
画:hiromichi yasuda

*1・フランク.O.ゲーリー
現代アメリカを代表する建築家。代表作にビルバオグッゲンハイム美術館がある。現在21-21で展覧会が開かれている。

*2・フィリッポ・ブルネレスキ
ルネサンス期のイタリア建築家。主要作品のサンタ・マリーア・デル・フィオーレのクーポラは、当時難しいとされた仮枠なしの提案で作られた。


2015年11月13日金曜日

相模原の住宅(野沢さんの家)

先日、野沢さんのお宅でホームパーティーがあるとの案内を頂いて、野沢邸を訪れた
野沢邸(相模原の住宅)は、予々、拝見したかった住宅である。

到着すると、野沢御夫妻が僕たちを迎えてくれた。

やや天井高を抑えたリビング、屋上庭園?につながる寝室、そこかしこに野沢さんの趣味の家具や小物がちりばめられたインテリアを見た後、ホームパーティーが始まった

楽しい時間は足早に過ぎ去るもので、帰途についた後、もうちょっと「建築」を見ておけば良かったと後悔して、かつて野沢邸が紹介されていた雑誌を引っ張りだしてみた。

その記事には、「暮らしをつくる土台となる家」という見出しで、野沢さんの奥さんのインタビューがあった。
読み始めると奥さんが語る野沢邸が面白くて、、、、お庭の話や、食事の話でいつまでたっても「建築」の話にならない。・・・・でも、とても素敵な話であった。

奥さんの「価値観」が率直に表れたお話で、食事や季節変化などの経験を大切にされて、丁寧に暮らすことが語られていた。
そう言えば、美味しいお食事で、僕らをもてなしてくれたのは奥さんだった。

訪れて「いいなあ」と感じる住宅には、例外無く人と空間と時間がつくる楽しい経験があるけれど、野沢邸の「楽しい経験」は、野沢夫妻の共同作業・・・だったのかもしれない。





2015年11月4日水曜日

Y-GSAのシンポジウム

今年度で、Y-GSA(横浜国立大学大学院/建築都市スクール)の北山 恒さんが退官されるのもあって、横浜のバンクアートでシンポジウムがあった。

北山さんは僕が大学の3年の時、横浜国大にやって来た。
直接教わっているので「先生」と呼ばなければいけない間柄だけど、北山さんはやはり「北山さん」がしっくりくる。
先生なんだけど、いつも兄貴目線で、話しかけて頂いた。
・・・・・上から目線なんだけど、いわゆる上から目線じゃない・・・・

卒業後、大学とちょっと疎遠になった頃、不思議と声をかけて頂いて、
「今度2年の設計、見てくれない?」
と言われたのは、30代の独立して間もない頃。
「図学ってのがあるんだけどさ。安田君見てくれない?・・・」
と言われたのは、昨年の事。

シンポジウムでは、大学改革や教育など多岐にわたって北山さんの功績が語られるなかでY-GSAの卒業生のその後の活動を常に気にかけていた、という話が印象的だった
なにより、僕自身がそれを感じている。

やはり北山さんは、Y-GSAの卒業生とって「兄貴」的存在である。
画:hiromichi yasuda





2015年10月30日金曜日

イベントの企画(黒子の役割)

最近、JIA(日本建築家協会)のイベントで、幾つかの企画に加わっている。
頼まれたら、出来るだけ[断らない]ようにしよう、と思っている事もあって引受けるわけだけど、やるからには中途半端に終わらせたくないと思っている。

イベント企画者はどちらかというと黒子、参加者がどれだけ楽しんでいるか?に気を使わなければいけない。
恐らく、それがイベントが成功するための黒子の心がけだと思う。
ただ、やってみて、そればかりではいけない、と思った。

「自分も」楽しまなければ、いけない。


画:hiromichi yasuda



2015年10月24日土曜日

衛生陶器について。

いきなりちょっと下の話で恐縮ですが・・・・

衛生陶器を見てると、[大便器]より[小便器]の方が、デザインのバリエーションが多い気がする。勿論、種類は[大便器]の方が圧倒的に多いのは、T社、I社(今はL社・・・)のカタログを見てると、わかる・・・・が、
でも、形もサイズも微細な違いで、性能ばかりを争ってる気がする。
それに比べて、[小便器]は、形とサイズのバリエーションが豊富である。

以前、イランに旅行に行った際、トルコの空港のトイレで、丁度股間の高さに、その、あの朝顔?があって、ちょっとギョッとした。

日本でよく見かける、床にくっついてる長いタイプが、低リップ型と言うらしいけど、その空港トイレで見たのは、50cmぐらいのラグビーボールを斜めに切って、床から70cmぐらいの高さに付いている感じで・・・・なんと言うか、朝顔が股間のすぐ下を包むような、・・ちょっと背伸びをしたくなるような、モゾモゾした感じであった。
(西洋人は足が長いから気にならないのかな・・・・)

ま、しかし、床が汚れてなかったから、こちらの方が粗相が少なそうではあるが・・・・

2015年10月21日水曜日

咳をしたら一人

この時期に珍しく、風邪をひいてしまった。

画期的な治療法を教えてもらって、1日休んだだけで回復した・・・・
けど、咳が止まらない。
咳はいつもの事で、体調が良くなって回復に向かう4・5日ほど、苦しめられる・・・・
もともと、喉が弱いのかも。

今日の職場は、たまたま一人。
ゴホゴホ咳き込んでの仕事は、誰か居たらうつしてしまいそうだから一人は丁度良かった。

尾崎放哉の句に、「咳をしても一人」というのがあるけど、
衛生学的には、「咳をしたら、一人」。
画:hiromichi yasuda

2015年10月16日金曜日

大学の良い所

組織が開かれている、ということについて少し。

今日、大学行きのバスに乗ると途中の停留所で、黒人さん、続いてイスラム系の女性などがちらほらと乗車してきた。僕と同じ大学前の停留所で下車して、僕と同じ大学が目的地だった。

一日の講義を終えた大学構内の停留所では、今度は車椅子の欧米人と同乗する事になった。車いすのスペースがある事は知っていたけれど、バスに乗り込む姿は初めて見た。

いろいろな立場や境遇の人が、学問という共通の目的で大学に集まってくる。
試験は別として、人種・性別・身体の違いに対しては門戸は開かれている。

社会には、本人の努力では如何ともし難い理由で門戸が閉じている組織がある中で、大学は[学問を目的]とする人には開かれている。

大学のフェアな部分だろう。

2015年10月13日火曜日

指導者はテニスの壁打ちの[壁]

大学で教えている建築家が集まった時、こんな話になった。

例えば、場所や家族構成やテーマを与えて、住宅の設計を2・3ヶ月かけて指導するとする。学生は、課題条件を読み解いて設計するのだけど、あくまでも作業は自宅(つまり授業外)だから、サボる学生と、頑張った学生とでは雲泥の差が出てしまう。
頑張って指導しても、1週間後、なにもせず手ぶらでやって来る学生がいると、教える方もげんなりしてしまう。

ある建築家が、そうならないように、学生に対してこう切り出す、と言っていた。

最初に、「指導する私は、テニスの壁打ちの[壁]である。」と宣言する。
「相手が強く打ってきたら強く返す。弱く打ってきたら弱く返す。志ある学生には熱心に指導するが、やる気の無い学生には早々に切り上げて帰ってもらう。あくまで学生のやる気次第と。

・・・・なるほど。
画:hiromichi yasuda

2015年10月9日金曜日

屋外での読書

先日、工学院大学(八王子校)に早くついたので、授業が始まるまで屋外テラスで本を読んだ。

近頃は老眼鏡が欠かせないのだけど、この日は何故か眼鏡無しでもくっきりした文字だった。しかも文庫本。

体調が良かったのだろうか?屋外の明るさが目に丁度良かったのだろうか?

いずれにしろ、まだ眼鏡無しでも読めることに気を良くして、難しい本もスラスラ内容が入ってきた。

2015年10月5日月曜日

お相撲さんに挟まれて

今日、京浜東北線でお相撲さん二人に挟まれて座った。
品川駅から蒲田駅まで、わずか3駅間だけだったけど。

お相撲さんのチョンマゲは、とても艶があってしっとり整っていて、少しいいにおいがした。
画:hiromichi yasuda

2015年10月1日木曜日

コンクリートの建物

少し専門的な話なので、アレだけど・・・

建築では、ほとんどが、木造、鉄骨造、RC造(鉄筋コンクリート造)に分類される。
土や石やレンガで作った建物もあるけれど、ま、現代建築はだいたいこの3種類に分類される。

ところで、建築では、[ライフサイクルCO2]という考え方があって、
簡単に言うと、製品の製造、輸送、建設、使用、破棄、再利用、全ての課程を含んだ、CO2の排出総量を計算したもの。

木造だと、木材の切り出し、運搬、製材も全て。解体、処分も全て。
例えば製材する電気ノコギリの電気代をCO2に換算したり、運搬のガソリン代をCO2に換算したりと全ての課程をCO2を換算するわけだ。勿論、大工さんの現場労働で肺から吐くCO2も換算する。
(大工さんのCO2は全体では微々たるものだから影響ないけど)

ちょっと前段が長くなってしまったけれど、3種類の建物で、ライフサイクルCO2の排出は「RC造」が圧倒的に多い。
理由は、木材や鉄骨に比べて、「セメント」が、その製造過程で排出するCO2がむちゃくちゃに多いからだ。
必然的にセメントを多く使うRC造が、CO2に関しては地球に対してかなり負荷をかけている、ということになる。

今、建築の潮目が変わりつつあるのを感じるけれど、セメントのCO2の問題を解決しない限り、今までのようにRCを造り続けるのは厳しいかもしれない・・・・
画:hiromichi yasuda


2015年9月28日月曜日

映画「あん」と樹木希林

年に1度・・・最近は映画を見る機会が少なくなったけれど、その貴重な機会は、今年は「あん」という河瀬直美さんの映画だった。

パッとしないどら焼き屋を営む店長(永瀬正敏)のもとへ、ふらっと、アルバイトをしたいと徳江(樹木希林)がやってくきて「あん」を作る事になる。
「あん」の味が評判となり、そのパッとしないどら焼き屋が人気の店になるけれど、やがて徳江がハンセン病である噂が広まり、客が離れていって徳江は店をやめる事になる。
・・・ハンセン病の差別と世間の無理解を主題とした映画だった・・・・

主役の、樹木希林の演技が良かった。
彼女の感情を抑制した演技が、かえって寂寥感というか、切なさを伝えて、対する永瀬正敏も悲しみにじっと堪える男のいい演技だった
彼らの負の過去と、それに抗って生きる姿を鮮やかに描いていて、思わず感情がこみ上げてしまった。
画:hiromichi yasuda


2015年9月26日土曜日

9/25のJIAトークギャラリー

僕は、日本建築家協会(JIA)という団体に属していて、そこでも活動をしている。
元々、団体での活動は積極的ではなかったのだけど、年齢も重ねてくると、自分の事だけじゃなくて多少は利他的な活動もしなくちゃ、という意識も芽生えてくる。

というわけで、日本建築家協会のお仕事で、建築家の「トークギャラリー」という企画の手伝いをしている。日本建築家協会の会員の方にパネラーになって頂き、各自の活動を発表をしてもらう。会員同士の理解を深める事が目的の、情報交換+勉強会、のような場だ。

近年は、ネット等で、気軽に情報を手に入れる事が出来るけれど、それぞれの「肉声」から聞く情報は、なにか密度というか、重量が違う気がする。
第一回目が9/25にあったけれど、実際に「会って」「話を聞く」のは、僕にとっても有意義であった

パネラーの皆さん、どうもありがとうございました。

*次回は、10/30(金)18:00〜
 キクシマ関内オフィス 横浜市中区北仲通3-34-2
 であります。

2015年9月20日日曜日

場末の中華料理店で

昼食のお店を探しているとき、玄関が開いたままなので奥を覗くと満員の中華料理店。場末の町で、午後の2時に、これだけ人が入ってるんなら、美味しいのかな?と思って中に入った。

おばさんが二人で、テキパキ働いていた。
他のお客さんは、餃子にビールを付けたりして談笑している。地元の人っぽい。

ラーメンを頼むと、十分程度で、肉と野菜の餡掛けラーメンが出てきた。
そこそこ美味しい。

帰りがけに、会計をお願いすると、忙しそうに麺を茹でてるおばさんが、百円玉が十数個入った籠を指差す。そっちで勝手にやってと言わんばかりに。

それじゃあ、という事で、千円札を入れて、その籠からおつり400円を自分で取り出して財布に入れる。おばさんは相変わらず麺を茹でていて、こちらを見てるそぶり無し。

一見さんのお客さんをそこまで信用するのか・・・・
この店が繁盛している理由が、ちょっと判った。
画:hiromichi yasuda

2015年9月18日金曜日

横浜の保育園に久しぶりに訪れると・・・

「たまたま、近くまで来たので寄りました」
今春完成した、横浜市保育園の増築棟に半年ぶりに訪れた。
竣工当時はちょっとアクシデントもあって何度か通っていたけれど、一段落してからは久しぶり・・・少し緊張ぎみの訪問だった。

「あらま、丁度良かったわ」とばかりに、ニコニコしながら園長先生から、矢継ぎ早に指摘を受ける。
受け答えをしつつ、世間話も交えつつ、時間が流れる。

しばらくして・・・・

「この建物、お母様方にとても評判がいいんですよ。ありがとうございました」・・と

園長先生からの、この一言で、体の力がスッ〜と抜けた。
かつての苦労が一気に「過去のモノ」になったというか・・・
ホッとした。

こういう時が、この仕事をして良かった、と思える瞬間である。


写真;hiromichi yasuda

2015年9月15日火曜日

指摘されたら必ず直す

村上春樹さんの自伝的エッセイを読んでいて、こんな内容のことが書いてあった。

出版前の自作に対して、内容について第三者の意見を聞いたときのこと。
やや批判的な部分があったとき、
「ひょっとしたらそうかもしれない」場合も、
「いや、そんな事は無い、僕(村上)の考え方の方が正しい」場合も、
とにかく何か言われた部分は、何はともあれ、「必ず書き直す」というルールを決めているそうだ。

批判に納得いかない場合には、言われた事と「違う」直し方をするらしいけど、とにかく、その部分にもう一度手を入れる、とのことだった。

で、結果は、常に前の文章よりも良くなっている、と。

設計でも、良いアイデアを思いついた時は、とにかく興奮して他者の批判を冷静に聞く事が出来ない・・・場合がある。
でも、少し時間を置いて頭を冷やすと・・・・
大したアイデアではないな・・・・と反省する事がある。

なにか、とても腑に落ちた。

2015年9月13日日曜日

友人のかき氷

横浜から車で3時間半の、田舎に引っ越した友人の続編。

友人は、広い庭にパラソルを広げて夫婦でかき氷店を始めた。
かき氷を作るのは、奥さん。
シロップは、可能な限り天然ものを使ってるそうで、畑で採れた梅も使われていた。
僕は、合成甘味料でも「美味い」とか言ってしまうタイプだけど、説明を受けると確かに、それは美味かった。
(ま、こんな 僕に「美味い」と言われても、馬の耳に念仏なんだろうけど・・・・)

お屋敷は広くて、例えば小屋は壊れそうな外観にも関わらず、敷地内の[重要な位置]にあったりする。
日曜日にゴロゴロしているリビングのお父さんみたいな・・・

友人は、そんな小屋に手を入れて、改装を始めていた。
ゆくゆくは、雨・風・日差しを遮る、喫茶店の客席になるそうだ。
その日は、床下の根太を転がして、床を貼る準備をしていた

彼らは、古い農家のお屋敷を、少しずつ自分たち用にカスタマイズしていた。
画:hiromichi yasuda










2015年9月11日金曜日

南三陸の風景

先日、復興支援も兼ねた遠征で、仙台、南三陸、気仙沼、福島を訪れた。
感慨深い訪問だったけれど、中でも南三陸の風景が印象に残った。

南三陸は、説明するまでもないけど、防災無線で「高台に避難して下さい」と最後まで留まって放送して亡くなられた女性職員がいた被災地。

現地を訪れると、防災庁舎は骨組み姿で残っていて、ねじ曲がった鉄骨は3.11の記憶を生々しく留めていた。

ところが、周辺は、災害時とは一変していて、露天掘りの炭坑跡地のような風景になっていた。
嵩上げによって高くなった土地は、旧防災庁舎をスッポリ取り囲んでいて、気が遠くなるような量の土が運び込まれた事を容赦なく理解させた。

南三陸防災庁舎周辺





2015年9月2日水曜日

日本の屋根(まめ知識)

日本の屋根型は、大きく分けて、切妻、寄棟、入母屋、がある。
(細かく言うと、もっとあるんですが)

僕は、寄棟以外は全部設計した事がある。
方形の屋根も、形で言えば寄棟の一変種、とも思えるけど、やっぱり別のものと言った方が良いだろう。(方形の屋根は一度設計してます・・・)

内田祥哉さんの本を読んでいたら、寄棟というのは、日本では最も汎用性のある型で、その理由は、どんな平面だろうが、寄棟の組合わせで対応出来るからだそうだ。

ちなみに、屋根は、谷の作り方が難しくて、「良い谷」と「悪い谷」がある。
平面形状が複雑になっても、寄棟の組合わせは水捌けの「良い谷」を作る事ができて、平面が雁行していても、新たに増築しても、どこまでも「良い谷」の組合わせで屋根を架けられる、という訳である。
画:hiromichi yasuda




2015年8月27日木曜日

競歩の魅力

たまたま付けたテレビで、「競歩」をやっていた。
どちらかというと地味な種目だけど、日本人が世界記録を持っているらしくて珍しくテレビで完全生中継をしていた。

しばらくして、アナウンサーや解説者の中継を(かなり違和感をもって)聞く事になった。

「◯△選手、良い位置取りで、[歩いて]おります」
「ええ、この位置で、虎視眈々と先頭を伺いながら[歩いて]欲しいですね
「表情は、まだ余裕のある[歩き]ですね・・・・」

・・・[歩く]を連発されると、なんかちょっと拍子抜けしてしまう。


競歩は、どこか便秘に似て・・って言うか・・・急いでるけど走ちゃいけない、という不自然さが、出そうで出ないアレに似て、スッキリしないスポーツだな・・・と、終始思ってたけど・・・・・
でも、完走・・・あ、いや、完歩した選手は清々しい顔をしてたから、そうでもないのかな?
画:hiromichi yasuda


2015年8月24日月曜日

仕込み

[仕込み]・・・料理などで,下ごしらえすること

例えば、お鮨屋さん。
カウンターで注文すると、板前さんがちゃっちゃと握ってくれてその手さばきに感心するけど、実は[仕込み]が大切、と聞いた事がある。
何事も、見た目の鮮やかさに惑わされちゃいけない。

話は変わるけど、建築学科の授業では、大きく分けてに[座学]と[実習]がある。
この、[座学]と[実習]は、
実は、学生の立場、と、先生の立場、とでは大きく異なる。

簡単に言うと、学生にとっては座学は楽。実習は大変。
しかし、先生にとっては、実習に比べて明らかに座学は大変。
パワポとか駆使して話す順番も考えて、その日の講義の内容を準備しなくちゃいけないから、結構骨が折れる。
ましてや、今年からの講義だと、一から準備しなくちゃならない。

10月から、後期講義の「図学2」が始まる。
[仕込み]をちゃんとやっておけば、カウンターの前のお客さんに満足してもらえるように、学生に面白い授業になる・・・・と思って、せっせと準備を始めている。
画:hiromichi yasuda

2015年8月21日金曜日

いつもと違う時と場所で出会うと・・・

人は、いつもと違う時と場所で出会うと、顔は知ってるけど誰だっけ? となる・・・ことがある。
たぶん、「場面」つまり「出来事」や「映像」がセットになって記憶されているんだろう。何かのきっかけでそれがズレると、顔はしってるけど誰だっけ?と。

先日、昔働いていた[職場]のビル屋上で、花火パーティがあった。
会場には、もと[職場]のご近所さんやビルオーナー達、懐かしい面々がいた。

その中に、どこかで見かけた女性がいた。
相手も、僕の顔を見て知っている様子。
近くまで行って、「どこかでお会いしましたっけ?」と話が始まったのだが・・・・
話が進めども、お互いにどこで会ったか思い出せない。必死にビルの関係者を思い出そうとするけど、記憶の糸は切れてしまう。

「私、フラワーアレンジメントをやってまして・・・」という言葉が出たとき、あ、もしかして、上に住んでる人・・・
朝、出かける時に「おはようございます」と挨拶を交わす、[自宅]マンションの同じ住人だった。

(・・・単に、記憶の回路が切れてるだけですかね・・・・)

画:hiromichi yasuda




2015年8月17日月曜日

エッセー集を読んでいると・・・・

BOOK OFFで購入したエッセー本を読んでいた時、ページ右上が、折込んであるのに気が付いた。
しばらく読み進めると、また。
15分ぐらい読むと、また。

よく見ると、ほぼ、同じ間隔で、ページ右上が折り込んであった。
「しおり」代わりでページに折り目を入れていたのだろう。(僕もたまにするから)

シャーロックホームズだったら、通勤電車で読んでいる前提で[この本の前所有者は、職場と自宅は比較的近い。乗換え無しで職場まで行ける。ガラケーを使う年配の人]
とか推理するんだろうか。

ところで、更に読み進めると、それまでの規則性が崩れて、2ページ先、時間にして、2・3分、つまり折り込みページが2ページ続いていた。
こうなると、ちょっと気になってしまう。

例えば、そこで何か事件が発生して、本なんか読んでいる場合じゃなかったとか。
急にお腹がゴロゴロしてきて、我慢出来なくて、途中下車したとか。
あるいは、下車した時、どうしても先が読みたくてそのページを読んで落着いた、とか。

・・・・・・想像力を膨らますのも、また楽しい。

画:hiromichi yasuda

2015年8月13日木曜日

秋のお祭り

この夏、東北の祭りを見て、子供の頃の祭りを思い出した。

実家の村では、秋にお祭りがある。
東北の三大祭りと比べたら、比較にならない小さい祭りですが・・・・
起源はたぶん収穫祭。

子供の頃は、祭りの数週間前から、公会堂に呼び出されて踊りの練習をしたものだった。
日が暮れてからの練習で、その時間になると、青年団の練習も始まっていて遠くからドンドンという太鼓の音が響いていた。

子供を集める為に、お菓子やらジュースやらを用意して、それを餌に練習に参加させて・・・と大人は思っていたけれど、実は子供は太鼓が鳴り始めた「夜に」家を出る好奇心、というか非日常生に、毎日通っていた。(と思う)

東北の祭りを見て、田舎の祭りの笛や太鼓の音が甦って来た。
今年は、田舎の村祭りに、帰ろうかしら。
画:hiromichi yasuda

2015年8月10日月曜日

黄金町界隈を散歩

まいにち、まいにち、僕らは鉄板の〜・・・・上で焼かれる感じ。
黄金町で、暑くて気力が萎えている今日この頃です。

集中力を欠いて仕事をしていると、事務所に東北工業大学の新井さんが、学生を3名つれてやってきた。丁度、一息ついているところだったので、いいタイミングだった。

新井さんは、住まい、街づくりをテーマにした研究者である。今回は、黄金町の街を学生に見せたいから、とやって来た
お互いに情報交換をしてから、そろって黄金町の街歩きを始める。

事務所を出た後、ご近所のアーティストさんのアトリエを覗く。
この時期の黄金町は、バザール2015(アートイベント)の準備期間で、
アーティストの皆さんは、それぞれアトリエに籠って創作を始めていた。
「間に合わない〜!」と半ば笑いながら半ば泣きそうな表情で製作していたり、黙々と粘土を捏ねていたり、それぞれがそれぞれの方法で開催に向けて準備をしている。

バザールが始まる前の黄金町は、展示の開催時期(10/1〜11/3)とは違った意味で面白い。一見、日常だけれど、アトリエそれぞれに静かな熱気がある。
新井さんとその学生さんは、黄金町の「もう一つの面白さ」を体験できたのではないかしら。

暑い暑い夏が終わった頃、いよいよバザールが始まる。
黄金町バザール2015
https://www.koganecho.net/koganecho-bazaar-2015/

画:黄金町エリアマネイジメント

2015年8月7日金曜日

東北のお祭り(青森ねぶた祭り)

例えば、テレビ画面に映し出されたお祭りで、一度体験したかったのが、ねぶた祭り。
武者絵の描かれた山車灯籠(ねぶた)を、人々が引きながら練り歩くお祭り。
この夏、初めてねぶた祭りを体験した。

夕刻、暗くなりだした市中に、太鼓の音が鳴り響く。
祭は、ドンドンという太鼓の音で始まった。

太鼓と笛、山車灯籠、市民のかけ声に徐々に観客も興奮してきて、その観客も含めた全てが祭を盛り上げていた。
よく山車灯籠(ねぶた)が注目されるけれども、その脇を固める要素全てが祭を作っている。

建築体験も似ているところがあって、建築の見た目の効果、だけじゃなくて、人の振る舞い、場の空気や音まで含めた空間全体がその良さを作る。

僕にとっての「いい建築体験」はそれで、設計者としてそこに参加出来たら幸せに思う。
画:hiromichi yasuda


2015年8月4日火曜日

東北のお祭り(盛岡さんさ踊り)

東北の祭りが見たくて、この夏、みちのくに行った。
最初に行ったのは、盛岡、さんさ踊り。

お腹に抱えた太鼓をどんどこどんどこ叩いて、小刻みなステップを踏みながら行進するのが さんさ踊り。

どんどこどんどこ太鼓を叩いて、
つま先でトントン、とステップ。

どんどこ、トントン、どんどこ、トントン、
リズムと仕草がとても愛らしい。

聞くところによると、今の行進パレード、という形になったのは、昭和に入ってからだとか。
伝統も、時代に合せて変化してるんだそうだ。


画:hiromichi yasuda