環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2013年10月31日木曜日

なにがあっても、なくても

慌ただしい一日だ。

ここ数日、かなりの時間を費やしてきた徳島のプロポーザル。今朝あっけなく落選の知らせを受ける。・・・落胆。

傷心した気持ちを整理するには時間が必要・・・と、思ってる間もなく、明日から始まるバカワネガコ展の準備で設営会場に向かう。
仲間と、ああしよ、こうしよ言いながら設営。

やっと終了、事務所に帰って一休み、コーヒーを・・と思っていると、こちらも明日から始まる関内外オープンのお知らせで、当局のスタッフが説明にやって来た。
このイベントに限らず、他にもシンポジウム参加とか、図面作成とかいろいろあって、忙しない1週間は続きそう。

[忙(いそが)しい]も[忙(せわ)しない]も、心を亡くすとはよく言ったもので、
深く、ゆっくり考える心の余裕が無い。

ま、しかし
・・・・・
慌ただしい一日、今日だけは・・・それが救いになってる気も・・・
画:hiromichi yasuda



2013年10月29日火曜日

徳島県の漁村集落

徳島県は昔、一度だけ訪れた事がある。
少ない経験とは言え、他の四国3県に比べて徳島は何故かベールに包まれていた・・と言うか、記憶からスッポリ抜けていた。
徳島の特徴を聞かれても、阿波踊りぐらいしか知らないし・・・・


徳島県南部にある日和佐浦という漁村を訪れた。
ここには、街の[昔の佇まい]が残っている。
建物は勿論だけれども、路の造りがユニークで「あわえ」と呼ばれる路地があって、それが街の構造を今に伝えている。

東西の路が車が通行でいる大通りで(といっても4・5m程度だけれど)、
南北の路が人や動物が通れるくらいの路。
それぞれ格子状に組まれていて、
街の南端の漁港まで繋がっている狭いほうが「あわえ」。

その路地でおしゃべりを楽しんでいるおばちゃん達を何度か見かけた。今ではあまり見られなくなったけれど、おばちゃん達は、どことなくノンビリしているというか、ゆったりした感じで、時折笑い声が聞こえてくる。

そんな風景を見ていると、
おそらく、100年前の日和佐浦のおばちゃんも、今と同じような身振り手振りでおしゃべりしていて、時に笑っていたのでは無いか?と思えてしまう。
画:hiromichi yasuda

2013年10月24日木曜日

幼稚園の増築

横浜市は、林市長さんが子育て支援に力を入れていて、保育園・幼稚園の整備を進めている。今年の5月には待機児童が0人になったとマスコミが報道。市長さんも珍しくテレビに出てた。

今度、僕の事務所でも横浜市の保育園(増築)を設計をする事になった。
相談を受けた事はあるけれど、実際の設計は初めて。

自分に子供が居ないので、なにぶん想像するしかないのだけれど子供達にとってどんな空間が良いのだろうか?

以前、子供部屋で押入スケール(立つと頭があたる大きさ)のジャイアント家具を設計した事があるけれど、幼い頃押入に居るのが好きで、それが記憶のすみにあったから。
今回はもう少し大きなスケールになりそうだ。

さて、何を足がかりに考えようか?
明日が最初の打合せ。

考える・・・カンガエルー・・・カンガルー・・・・

画:hiromichi yasuda







2013年10月22日火曜日

モノを無くす癖

モノを無くす癖がある。
自慢じゃないが、ホント〜に良く無くす。
しかもしばらく気が付かないから、どこで無くしたかも、分からない。

マフラー・手袋・傘などは日常茶飯事だし、泊まったホテルのカードキーを無くし危うく部屋に入れなかったこともある。

先日も四国の旅で、デジタルカメラを無くした。

レンタカーの旅、美しい風景に出会うと、ついつい車を止めて写真をパチリ。
車を出て写真をとることも。
石垣のきれいな棚田では、土手にカメラを置いて、しばらくその風景に見入っていた。

さて、目的地に着くと・・・・カメラが無い。
・・・・・・・・
あ!、あの土手だ・・・と、今回は無くした場所をしっかり覚えている。
しかも、置いた場所の雑草のディテールまで。
でも、100kmも走っているし、帰りの飛行機もあるから引き返す訳にもいかず・・・無くした場所を覚えているだけ始末が悪いというか、成仏できない記憶力というか、猫に小判というか・・・

やむなく、スマホでイマイチな写真を撮って、任務完了、、、とほほ・・

一日の使命を終えて高知空港に辿り着く。
搭乗券を取り出そうとカバンを開けると
そこに、カメラが・・・・
画:hiromichi yasuda



2013年10月20日日曜日

五台山竹林寺でのお話

五台山竹林寺は、四国八十八箇所をめぐるお遍路さんの31番札所である。
そこの[客殿]で、建築家の堀部安嗣さんのレクチャーが行われた。

お寺で建築のレクチャーを聴くのは初めてだが、新鮮でなかなか良いモノだと思った。
外に目をやると、名勝庭園、立派なお庭が見える。
ぐるりと回廊が廻るその中心に広いお座敷があり、そこで堀部さんがお話をされた。

客殿の造りは、ドッシリしていて、柱・梁は太く天井も高い。
20名弱の集まりであったが、器(建築)がしっかりしているので、まだまだキャパシティに余裕がある。

公共建築で、よく「箱モノ」と揶揄される市民ホールがあるけれど、「寺」が集会所だった頃を考えると、「箱モノ」という言い方はちょっとヘンというか、その響きにかなり違和感を感じる。

大きな屋根があって、そこにいい話をしてくれる坊さんが居て、町の人が自然にその話を聞きに集まってきた、そんな風景がイメージできる。

堀部さんの話は、とても面白かった。
画:hiromichi yasuda


2013年10月14日月曜日

代田の町家(坂本一成さん設計)


[代田の町家]はとても素晴らしい住宅だった。
坂本さんは、これを30代早々で作っているのだから・・・
ある種、天才的なところがあったと思う。

先日、坂本一成さんが設計された、[代田の町家]を見てきた。
1976年に建てられたこの住宅は売りに出ていて、今はだれも住んでいない。
(今回、それが理由で中まで見られる事になった)

一通り拝見して、その清々しさに、ただただ興奮して、
でも、何が僕の琴線に触れたのか?
上手く整理できないもどかしさを感じて・・・

・・・・と、その時
友人建築家が
「僕のやりたい(設計したい)事が全てやってある。しかも『上手く』やってある・・・」
と、ポロッとつぶやいた。

「そう!・・・まさに、そう!!」

住宅を見るとき、そこでの生活(豊かさ)を見ると同時に、僕ら専門家は空間の構成やスケール、光や風の流れなどプロ作り手として)視点で見る。
この住宅は、その点をすごく満足させてくれる住宅だった。
画:hiromichi yasuda






2013年10月12日土曜日

キンモクセイの香り

道を歩いていると、どこからとも無くキンモクセイ特有の、甘い香りがしてきた。
どこにあるんだろ?とキョロキョロするが、木の姿は無かった。

まだ、中学の頃、初老に差し掛かる先生が
「この時期、キンモクセイの香りが良いですね。」
と言ったとき、
「あ、トイレの芳香剤のニオイですね!」
と、反射的に答えた。

その後、先生の何とも言えない苦りきった顔は今でも覚えているのだけれど、流石にマズい事いっちゃったなと後悔した。

この時期、キンモクセイの香りを楽しむ齢になって、改めて先生のあの表情を思い出す。


画:hiromichi yasuda





2013年10月10日木曜日

限界は自分で決めるもの?

この時間になると、やや疲れが出てきた。(ただ今22:30)
蒸し暑い上に、ずっとパソコンに向かって仕事をしてきたからなぁ。。。
おまけに、今日はちょっと考える仕事だったから。
(って言うと、いつも頭、使ってないみたいだけど・・・)


そろそろ帰ろうか、
と、思った途端に気が抜けてしまった。
もう、やめやめ。

部活動での練習もそうだった。
もう、これで一日の泳ぎ終わり!と、
一度気が抜けると、予期せぬ追加(当時は「増し」と言われてた)
があると、ヘロヘロで対応出来なかった。

人間は精神的な生き物だな。

画:hiromichi yasuda




2013年10月8日火曜日

食事が美味しくないのは?

最近、食事をしていて、美味しいなぁと思う事が少なくなった。
何故なんだろ?・・・


こんな言い方が適当かどうか・・、生命を維持させる為にしょうがなく口をモグモグさせて、ゴクンと飲み込んでいるような・・・半ば「義務」で食事を取っている様な・・・感じ。


ただ、そうは言っても食欲が無い訳では無い。
しっかり朝食は取っているし、お昼になるとお腹が減ってくる。
午後4時から5時ぐらいになると、小腹が減るので、ちょっとお菓子をかじるティータイムも設けている。

ネットで調べたら、亜鉛不足による味覚障害の可能性があるとか・・・・
亜鉛が多く含まれる食材は、ココア、きなこ、アーモンド、煮干し、etc・・・
それ程好きなものはないけれど、ちょっと多めに食べてみようか。
・・・・・・・・
・・・・・・・・
美味しく食事をするために、「義務」で食べるのもヘンかな?

画:hiromichi yasuda



2013年10月6日日曜日

JIAの街づくりシンポジウム

昨日は、JIA(日本建築家協会)による、黄金町街づくりのシンポジウムがあった。
僕も、ナビゲーターとして街の案内役と、シンポジウムのコメンテーターを頼まれた。

改めて、昔が刺激的すぎる街だったので・・・昔の街はこちらをクリック
今の街は対照的だと思う。

今のような街になるのに、どれだけの人が汗をかいたことか・・・
シンポジウムで、改めて実感した。





2013年10月3日木曜日

一級建築士の定期講習

一級建築士の定期講習というのがあって、
建築士の倫理規定から、技術や法律の話まで、
まる1日の講習を受けてきた。
姉歯事件以降、建築士全てを対象に3年に1度の定期講習が義務づけられたから。

約400人ぐらいの会場で目にしたのは・・・
(こういっちゃなんだけど)たくさんのお年寄り。
資格取得から20年以上経つから、僕もそろそろ中堅からベテランと言っても良いと思うけれど、明らかに僕より年配と思われる人ばかり。
白髪のおじいさんや杖をついている人やら・・・
会場では、僕なんかまだはな垂れ小僧と見られている節がある。

と思っていたら、ネット上に[50歳以上の一級建築士が全体の約2/3]というデータがあった。
20代となると全体の1/10にも満たない。

まだしばらくは「ベテラン」になれそうにない。
画:hiromichi yasuda

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2013年10月1日火曜日

快適な室内の為に

住宅を設計をする際に、自然界から必要なものを必要なだけ取り込むと、エコで快適な居住環境になる。
例えば、太陽の光を室内に入れる。暑い日は風を取り入れる、等々。
その為に窓があるのだけれど、僕らはそれを「インターフェース」と言う。

浜松に「ROKI」という会社があって、
建築家の小堀さん設計の研究所が出来たと聞いて、見に行ってきた。

エントランスを入ると、圧巻だった。
巨大なオフィスの天井が全てトップライト!
数千平方メートルはあろうかという天井が、全てトップライトで白く発光している。

ところで、暑くないの?

太陽は、光の他に、紫外線・赤外線なども同時に発して、例えば赤外線は熱を届けるから、室内は温室のようになってしまう。
この屋根はそこを上手く峻別して「光」だけを取り込んでいるから、暑くは無かった・・、というか、むしろ快適であった。*1
建築のインターフェースは重要で、自然界から必要なものだけ取り込むから快適な執務環境が作れる・・と言う訳だ。


そう言えば、ROKIという会社、主に車のフィルター(オイルフィルター、エアフィルター)を作っている会社だそうだ。
「フィルター」は、不必要なものを「取り除く」のが仕事・・ですからね。


画:hiromichi yasuda

*1(天竜川の冷気を取り込んでいるとのこと)