環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2012年11月30日金曜日

建物の保存問題

昨日JIAの全国大会で建物の保存問題のシンポジウムを聞く。

ただ、周りを見渡すと、お年寄りばかり。

この手の話題ではどうしても高齢者の参加が目立って、若い人は殆ど居ない。
でも、それはわかる気がする。

若い人は、未来に希望を見たいから「新しさや可能性」に関心が強く、高齢者は懐かしい思い出や過去の「生きた証」を大切にするから。
保存問題に若い人の関心が少ないのは致し方ないとも思う。

そのシンポジウムで、花田佳明さんが日土小学校の保存再生について報告していた。
日土小学校は、今年の8月に見て来たばかりの学校。
http://kannkyo.blogspot.jp/2012/08/blog-post_22.html

この学校は現役バリバリで今も使われている。
主に3棟あって、建物の正面向かって左にオリジナル(竣工時)に復元した校舎、中央は一部改築した校舎、右に新築で建てた校舎が並んでいて、それぞれ渡り廊下で繋がっている。

花田さんは上手い事を言っていた。
「3棟を繋ぐ渡り廊下は、過去・現在・未来を繋ぐタイムトンネル」だと。

僕もリノベーションの仕事を数多くやっているが、建築を過去から現在、そして未来に繋ぐ橋渡しをしているのかもしれない。



画:hiromichi yasuda



2012年11月29日木曜日

新しい自転車

自転車を購入した。
やや懐が寂しくなったが・・・思い切って購入してよかった。

そろそろ新しい自転車が欲しいと思っていたので奮発して・・・
(と言っても、そんな高価な物じゃありませんが)

しかし、新しい自転車は気持ちがいい。
ペダルを踏むと、スーッと進む。
ま、当たり前なんだけど、ペダルを踏むエネルギーがダイレクトに推進力になっているような気持ちよさがある。
こいでもこいでも進まない以前の自転車が、如何に力を無駄に使っていたかが良くわかる。

かたや、電動アシスト付自転車にも乗った事があるけれど、こちらはペダルを踏むと、ギュワンと不自然に動き出す。
体の一部がサイボーグになった様な、筋肉増強剤を使った様な、ペダルを踏む力と推進力が連動していない不気味さがある。

新しい自転車は、人の力と推進力が過不足無く一致しているのだ。
画:hiromichi yasuda


2012年11月28日水曜日

今日は寒い

今日は寒い。

と同時に、空は曇ってる。
寒くて外に出るのが億劫になってしまって、コンビニに行くのも嫌に思う。

そういえば、落ち込んで気分が優れない事を「ブルー」って言うけど、色に例えるなら「グレー」の方が近いと思うけど。どんよりした今日の様な色
ブルーって、どこか透き通った清々しいイメージがあるけどねえ。

しかし今日は寒い・・・・ブルブル震えて・・・ブルーな日である。
画:hiromichi yasuda







2012年11月26日月曜日

ラーメンを啜る

偶然バッタリ会った大学の教え子と3人で食堂に入った。
教え子の一人はカレーライスを、もう一人はラーメンを注文した。

ラーメンを食べたほうは少し量が多かったので、カレーライスを食べているもう一人にそのラーメンの残りを譲った。

するとスプーンを箸に持ち替えた彼は・・・・・

汁の中らかラーメンを掬いだしてちょっと間を置いてから、箸から20cm程度垂れている麺をズルッと一気に吸い込んだ。その間0.1秒ぐらい。(たぶん)
ズルッと言う音と手品のように口に吸込まれるあまりに見事な食べっぷりに、目が点になる。

「もしかして、ラーメン、好物?」と聞くと、
3秒程、間を置いて
「ええ・・・でもなんで知ってるんっすか?」
「そりゃ、見りゃわかるよ。」

その後、*「ラーメン二郎」「吉村家」の話に花が咲く。

*「ラーメン二郎」「吉村家」:横浜で行列ができてるラーメン屋
画:hiromichi yasuda



2012年11月24日土曜日

不思議な友人

高校の友人で不思議なのがいる。

職業は、映画のプロデューサー。
彼の話を聞いていると、ギョーカイの人っぽくてイロイロ怪しい雰囲気がある。
こう言っちゃなんだが、ちょっと得体の知れない風体だから初対面だとちょっとアレだし。

でも、話し始めると、包み隠さず何でも気さくにペチャクチャ話す、おしゃべり好きなところがある。

ところが、あまりギョーカイでの自分のポジションを話さないので、こちらも聞いちゃいけないと思い(一応気を使って)あえて聞かなかったが、先日、ふとしたきっかけで、彼が「げげげの女房」(映画のほうだけど)のプロデューサーだった事を知る。

ゲゲゲ・・・

さらに、今年の米国アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされている「かぞくのくに」のプロデューサーだったことも。

ゲゲゲ・・・・ゲゲ

「賞なんかもらっても、一文の得にもならないけどね〜・・・」だって。
オイオイ、アカデミー賞だぞ・・・

画:hiromichi yasuda






2012年11月22日木曜日

釜石へ

昨日、かなり強行軍で釜石に行って来た。
突然行きたくなった、というとちょっとウソだけど、でもそれに近い気分で夜行バスとレンタカーを乗り次いで、釜石の復興住宅プロポ公開審査を見に行った。

公開プレゼンテーションは何度か見た事があるけれど、とても参考になる。
提案を魅力的に語る事や質疑に的確に答える事は勿論だけど、でも、それだけでは足りない。

大切なのは、本人の奥底から出てくる計画に対する「熱意」のようなもの。
人それぞれで、クールな熱意もあれあ、やや誇張して表現する人もいる。
でも、静かに語ろうが、誇張して語ろうが、熱意が無いプレゼンテーションは魅力に欠ける。

平田 晃久さんとシーラカンスの提案が良かった。
特に平田さんの提案には、よくもまあここまで考えたなという、情報の多さと的確さに圧倒された。

案の定、平田さんの案が最優秀案に選ばれた。
画:hiromichi yasuda




2012年11月20日火曜日

プロポーザル

先日、久しぶりに大きなプロポーザルにチャレンジした。
あえなくアウトだったけど。

プロポーザルは、釜石市の復興住宅だった。

でもそのプロポーザルをやっている時に、不思議な充実感をがあった。
案の善し悪しもさることながら、どこか「公」の為にやっているという意識が影響したのかもしれない。

向上心、いわば「自分のため」にやる時も高揚感があるのだけれど、「公のため」にやる事は慶びに近い不思議な充実感がある。

人の為にモノを考える事が、なぜ自分の慶びになるかはまだ良くわからないけれど・・・でも、確かにある、と実感した。

何年ぶりにコンペやったかな〜?と話す、いっしょにやった建築家も同じ思いだったに違いない。
画:hiromichi yasuda





2012年11月19日月曜日

法務局

仕事で法務局に行く。

法務局の建物ってのは、アレですね。
カチッとして、鈍重・・・そして権威的なものを感じる・・・
ドーンとした吹き抜けを通ると、コツーン、コツーン!という足音が反響する。
妙に静かで、こんな広さが必用か?とも思う。

いや、それが悪いってこと言いたい訳じゃないけれど・・・・

セキュリテーシステムのゲートを過ぎて目的の課に行くと、30分待たされた。
ま、しかしこんな所で文句も言えず、担当になった人に書類を出して質問を始めると・・・
この人とても丁重で、ビックリ。
のっけから
「いや〜、スミマセンね〜。待たせちゃいましたね〜。ホントーに申し訳ない。
はあはあ・・・ああそうですか〜・・・・はいはい、あ、いやあ申し訳ない・・・」

腰の低さと頭を下げる回数は、八百屋のおじさんかおそば屋さんに匹敵する。
別にクレーム言いに来た訳じゃないのだけど。

公務員のおじさんも変わったのね。
建築も変われば良いのに。
画:hiromichi yasuda


2012年11月18日日曜日

黄金町バザール トークショー

昨日、黄金町バザールのトークショーに参加した。
人の前で話すのは久しぶりだけれども、リラックスして話すことが出来たと思う。

トークショーで、いつも気になるのは、「声」。。。。

僕はそれほど通る声ではない。むしろ小さな声。
それがコンプレックスになっているので、マイクが無いと緊張してしまう。

以前、プロの歌手から発声の指導を受けた事があって、その時は普段より大きな通る声が出た。まるで催眠術を解かれたように。

細かなことは忘れてしまったけど、印象深いのは音はノドで出すものではなくカラダ全体で出すもの、「カラダ、全てが楽器です」と教わったこと。

肩の力を抜く体操をして、体をニュートラルな状態にする指導を受けた。
画:hiromichi yasuda






2012年11月15日木曜日

黄金町いっしょにデザイン会議

僕は、黄金町いっしょにデザイン会議という任意の団体で、*「黄金町バザール2012」に参加している。
今年は国内外から33組のアーティストが参加。我々もその一組。

今週末に、トークイベントがあってそれに参加することになった。
昨夜、その打合せでメンバーが集まった。

最初は、イベントの打合せだったけど、そのうち今の建築についての話になり、話はどんどん拡散していく。
その中で印象的だったのは、話合えば話合う程「お互いの考え方の違い」が際立ってくる。
でも、違うから面白い。なぜそう考えるに至ったかを聞き出すことはもっと面白い。

11月17日(土)13:00〜、黄金町高架下スタジオSite-D で、黄金町の今後について僕らのトークショーがあります。ぜひ黄金町に足をお運びください。

詳しくはこちら↓
http://koganecho.net/koganecho-bazaar-2012/program.html



*黄金町バザール2012:
京浜急行線「黄金町」駅から「日ノ出町」駅間の高架下スタジオを中心に17カ所にまたがって作品が展示。会期中はアーティストトーク、ワークショップやまちあるきツアー、地域商店による出店などが催され、まち全体が盛り上がる2ヶ月です。

2012年11月14日水曜日

西村浩さんの話・・地方都市の問題

昨日、JIAセミナーで、建築家の西村浩さんの話を聞く。
西村さんは、北海道の岩見沢駅の設計者。

岩見沢駅はグッドデザイン大賞とか、日本建築学会賞とか、数々の賞を取ったけれども、西村さんは権威的な所はおくびにも出さない、気さくで人懐っこいところがあった。
(受賞はちょっとアピールしてたけど)

現在は、佐賀で街づくりをしているようだ。
佐賀の街も、他の地方都市と同じように中心市街地が寂れている。
商売が上手く行かず、お店が撤退し、残った建物は税金の問題から、取り壊し→駐車場→人気(ひとけ)が無くなる・・・という、今や全国共通の問題を抱えているようだ。

そこで、西村さんの提案は、駐車場を原っぱにするというモノだ。
勿論、それだけ聞くと、ハア?!と言うことになるが、話を聞いているうちに、その説得力に引込まれて行く。

アイデアはとてもシンプルで、原っぱには公の読書スペースを設ける。あるいは実験店舗を設ける。設計課題でよく学生が出す様な案だが、西村さんの本領は周到な手続きにある。
法の網をかいくぐる、住民を巻き込む、思い立ったら行動する(勿論ちゃんと根回しする)など、アイデアのレベルで終わらないところが大きな違いだ。
どう実現するか?が最も困難で大切なことだから。

僕も、浜松という故郷を持っている。浜松が持っている問題も例外ではない。
画:hiromichi yasuda








2012年11月13日火曜日

最近本を買って気が付いた事

最近、本を買っていて気が付いた事がある。
書店の本棚に、*「新書」がやたら増えている。
しかも、本の数も然ることながら、出版社(レーベル)の数も。
昔からあるのは岩波新書と中公新書ぐらいしか思い浮かばないけど、今や名前も覚えきれない程の出版社が出している。

ちなみに、僕も最近は新書ばかり読むようになった。

軽く読飛ばせるのと、お手軽なサイズだから常時2・3冊鞄に入れておけるし、お値段もお手頃。

あと決定的な理由がある。
文庫本を読んでいると、こいでもこいでも進まないスワンボートみたいな感じでイライラすることがあるけど、新書本は競技用ボートみたいにスイスイ進む。
読書感というかスピード感がフィットする。

*新書:173×105mmのサイズで、種に時事ネタを扱った本
画:hiromichi yasuda



2012年11月12日月曜日

福沢諭吉さん

以前、同級生の実家で、「学問のすゝめ」初版本を見せてもらった事もあってか、福沢諭吉さんに興味を持った。

イロイロ読むと、とてもユニークで魅力ある人だったようだ。
(イロイロっていってもまだ2冊目だけど)

最も特徴的なのは「合理的精神」。
僕など、不安な事があるとクヨクヨ考えてしまうけど、そんな暇があったら役に立つ知識でも習得した方がマシと考えて「精神はカラリとしたものでした」と言っている。
どんな難局になろうが、追いつめられようが、へこたれない。
あえて気持ちを奮い立たせてポジティブに考えるというのとも違っていて、そもそも精神構造が常に論理的・合理的に考えるタイプの人だったようだ。
だから感情的になることもない。

でも、人間味に欠けるか?と言うとそうでは無くて、人からは好かれて、自然と仲間の中心に居るようなキャラだった。
雑事を引き受けて軽やかにこなし、人の世話をこまめに焼く。そんな人物が人に好かれない訳がない。

こんな友人、僕にも居るなあ・・・・
画:hiromichi yasuda


2012年11月11日日曜日

阿部勤さんの「中心のある家」

建築家の自邸を訪ねた。
阿部勤さんの自邸「中心のある家」

この住宅はあまり著名ではないけれど、歴代の代表的な空間として「日本の建築空間」という本に掲載された住宅。
他に紹介されているのは、法隆寺や東大寺等に始まって、近代では代々木のオリンピックプールや安藤忠雄さん、伊東豊雄さん。ちょっとスゴい面々の建築とならんでわずか30坪程度の住宅が堂々と紹介されているのだから驚きだったけれど・・・・

でも、期待に違わず、素晴らしい住宅だった。

何が素晴らしいか!?

とても一言では言えないのだけれど、あえて言うと、
専門家として見てた場合「住む場所」は何が大切か?ヒントを沢山くれる教科書のようなところがあって、それよりなにより僕もこんな家に住んでみたいな〜と思わせる住宅だったところ。
画:hiromichi yasuda


2012年11月8日木曜日

パソコン問題が一つ解決した

パソコンで、しばらく不自由していた。
Mac OSにVMWARE フュージョンというソフトを乗っけてさらにwindowsを乗っけていたのだが・・・・

恥ずかしながら、Macとwindowsが同じマシンに入っているのにも関わらず、それぞれで作成したデータの共有方法がわからなかった。
(外付けHDでデータを共有してスイッチを切り替えるという面倒な事をやってたのです・・・・)
昨日、メーカーに問合せてやっと問題解決。

そういえば、CADソフトが出始めたころ、(もう20年ほど前になるけど)設計図を描いていて、建物の高さの寸法ツールがわからず、モニター画面に定規を当ててたこともあったっけ・・・
画:hiromichi yasuda





2012年11月7日水曜日

ブログ書かない日が続いてしまった

大きな理由はないのだけれど、ブログを書かない日が続いてしまった。
ブログを書き始めた頃は、とにかくネタが無くても続けようと思っていたのにダラシナイ・・・・

ちなみに、ブログを続けるのはそれなりに意志が必用で、イロイロ考えながら生活するのだけれど、ここ数日は油断してそれもない。(ネタを探してるだけだけど。。)

ここで止めたら男が廃る!      気合い入れ直し。
画:hiromichi yasuda


2012年11月2日金曜日

一つ嬉しい事があった

今朝、一つ嬉しい事があった。

黄金町バザールで滞在していた東南アジアの女性アーティスト2人組の為に、黄金町の高橋ビルの一室で送別会を開いたそうだ。
その高橋ビルの一室とは、先日僕が設計監理したリノベーションの部屋だ。

アーティストインレジデンスの為に改修した部屋だが、天井を外し、間接照明を取付けて部屋を広く見せた。
空間の広がりや質感等がとても評判が良かったとのことで、アーティスト2人の送別会も楽しく行われたようだ。

しばらく滞在した日本で、最後の一日が良い思い出になった事はとても素敵な事だし、その一翼を担った事も嬉しかった。
事務局の木村さんにその話を聞いた時、本当に嬉しく思った。
写真:takeshi goto