環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2013年7月30日火曜日

最後の授業を終えて

先日、4年間勤めた明治大学での最後の授業を終えた。

大学での設計製図は、昔に比べてずいぶん学生には手厚い授業になっている気がする。
僕らが学生の時分にも講評はあったけれど、優秀作を前に貼り出して二言三言言われただけだった気がする。

最後の授業が終わり、常勤・非常勤の先生が集まって、慰労会が行われた。

会は、最初から最後まで、建築の話で終始した。
とりあえずビールとばかりに、授業の話で議論が始まり、歴史の話で意見が別れ、時代と建築について討論が行われ、一休みして飲み、海外と日本の建築観の違いで話題が盛り上がり・・・とまあ、誰が決めた訳でもないのに圧倒的に建築の話。
皆がそこに飲み込まれるように会話に加わって、とても楽しい時間だった。

常勤、非常勤にかかわらず、皆さん建築が好きな人ばかりであった。

画:hiromichi yasuda

2013年7月25日木曜日

鉋(カンナ)について

建設現場で、カンナをかける大工さんはほとんど見かけなくなった。
子供の頃は、当たり前のように大工さんがカンナをかけていたのだけれど。

先日、木族の勉強会で、大工の棟梁(苔原さん)が、カンナについて興味深いことを言っていた。

何故、カンナをかけるのか?

木の太さを微妙に調整するため?
ま、それもあるけど大きな理由ではない。

木は、カンナをかけると、見違えるように艶が出る。
触ったら、ツルッツル。
ってことは、見栄えのため?
勿論それもある・・が数ある理由の一つ。

話を聞いていてなるほどな、と思ったのは、カンナをかけた木材は、塗装がのらない。
表面で塗料が弾いてしまうからだ。
カンナをかける理由の一つに、水を弾く事、つまり木の保護膜になっているのだ。
つまり、つまり、木材の「耐久性」に関係していたのだ。

最近は、機械によるカンナが主流で、手作業でやる事は少なくなった。
ただ、木には個性がある。今でも機械によるカンナは、現場で微妙に刃の調整をしながらする手作業には及ばない、とのことだった。
画:hiromichi yasuda



2013年7月22日月曜日

近所の小学校

昨日、近所の小学校に行った。
と言っても、選挙のため。
投票所が、小学校だったから。

こんな機会でもないと、なかなか小学校には行かない。

校門を抜けて、正面に校舎を見ながらピロティをくぐり抜けるとグランド。
それなりに広いスペースになっていて、
ああ・・イイなあと思った。
マンションが建込んでいる街だから、広いグランドは開放感がある。

帰りがけに、校門のところに緊急避難所の案内看板を見つけた。
そっか、避難所にもなってるんですね。




画:hiromichi yasuda


2013年7月20日土曜日

明晰さについて

ものすごく明晰な友人がいる。

彼を見ていると、ホトホト感心してしまうのだけれども、空間的、あるいは状況的全体像を瞬時に把握して、その中から最適解を導きだす。
恐らく、その時に最適解を導きだす為の情報が不足していたら、直感的に「今は解答を出すべきではない」という判断も含めて、瞬時に判断している。

まあ、僕なんかは、時間をかけて拙速に答えを出して誤認に気が付き、やり直すのも含めて)徐々に全体が見えてくるタイプからすると、彼の判断の的確さに気が付くのはいつも「後から」である。

限られた人間だけが、100mを9秒台で走るように、あるいは150km/hの速球を投げられるように、こればっかりは努力ではどうしようもない持って生まれた能力がある。

彼を見ていると、明晰さとは持って生まれた能力としか思えない・・・僕が100年努力しても、ムリ・・・超能力のような明晰さに見える。

画:hiromichi yasuda


2013年7月18日木曜日

伊勢神宮と烏口

伊勢神宮は、有名な神社だから、数多くの写真家が撮影している。

有名な本(写真集)では、1962年に出版された、渡辺義雄さん撮影の「伊勢」。
丹下健三さん、川添登さんの論文も載っている、とっても贅沢な本。

それから、石本泰博さんが撮影した「伊勢神宮」も有名な本だ。
これは1995年に出版されて、磯崎新さんと、稲垣榮三さんの論文が掲載されている。
こちらも、豪華本。カラー写真がとても奇麗。
実は、そのどちらも所蔵していて、何を隠そう、僕は伊勢神宮好きである。

大学の最初の設計課題で、伊勢神宮を烏口で描くというのがあった。
烏口というのは、昔の人が使ったペンのような製図用具。墨で描く。
ペン先がカラスのくちばしに似ているから、烏口。

当時既に烏口なんか使って図面を描く人は居なかったし、なんとも古風な、アナクロな感じの授業だと感じたけれど、今にして思うと、それが伊勢神宮に興味を持つきっかけだった。なんかヘンテコリンだけれど、不思議な魅力を感じるというか。

今年は20年に一度の式年遷宮がある。
画:hiromichi yasuda





2013年7月15日月曜日

今日も休日出勤だった。

もう、最近は普通と言うか、あまり休日と平日の境がないから気にならないのだけれど、今日も休日出勤。

ただ、休日出勤とは言っても、「溜まった仕事」を「いやいや」しに「事務所に来て」いるという訳では無くて・・・むしろ、平日より「ホクホク」した感じで・・・・事務所に来ている。
勿論、今日中に片付けなければならない作業なのだけど、仕事に追われるというより、趣味の延長のような・・・

これって、ワーカホリックかしら?

今日の作業は、充実した作業だったけれど、それはそれで問題かも。。。
画:hiromichi yasuda




2013年7月11日木曜日

水泳部

小学校2年から高校の3年まで、11年間、水泳部の所属していた。

姉2人が水泳部だったからその影響で入部した。姉達は中学、高校に進学すると早々に辞めてしまって、結局、僕が最も長く水に浸かって、最も長い距離を泳いだ。

中学の夏は部活動真っ盛りで、放課後のグラウンドはかけ声やら怒鳴り声が響いていた。
そんな中、プールで泳いでいる僕らの脇で、フェンス越しに羨ましそうに眺めている陸上部達が居た。

「いいなあ、すいえー部は・・・こっちは暑くて死にそう・・・・」
嘆きの様な、ため息のような声が聞こえるが、
「こっちだって、練習の辛さで、汗と涙を流しながら泳いでるんだぜ。プールの水は、僕らの汗と涙なんだからな・・・ウソだけど
と、心の中で答えた。

しかし・・・・こうも暑い日が続くと、あの頃の練習が懐かしい・・・・・
画:hiromichi yasuda


2013年7月7日日曜日

水の効用

これからいよいよ本格的な夏。

僕の事務所は川面に面していて、夕方ぐらいになると(特に今日の様な暑い日は)窓を開けると川から涼しい風が入ってくる。

水面は温度が低い。窓から涼しい風が入ってくるのは、周辺のアスファルトが高温になって上昇気流になったところへ、川面で冷やされた空気が流れて込むためだろう。だから、風の無い日でも、このあたりは微風がある。

パソコンで長時間作業をしていると、パソコンがアッチッチと感じる程、熱くなる。よくこれで故障しないな・・・と思う程。
Mac mini を使っているが、最近は濡らしたティッシュをかぶせて、冷やしている。

コンピューターも人と同じで、熱くなりすぎると・・コワレます。
ほどほど、に・・・
画:hiromichi yasuda




2013年7月5日金曜日

打合せ三昧

今日は打合せ三昧だった。

設計をやっていると、ただ黙々とパソコンの前で図面を描いている日もあれば、今日のように朝から打合せが連続する日もある。

パソコンの前で黙々と図面を描いていると、気が付くと24時を回っていることも・・・・・しかも、一日中だれとも喋ってない・・・事もある。

対して、今日のように打合せが続くと、一日中喋っていて、声を出すのもう疲れたよ・・・という事もある。

食い溜めとか寝溜めとかあるけど・・・・これって、喋り溜め?
画:hiromichi yasuda

2013年7月3日水曜日

最近ゆっくり本を読んでない気がする・・

何か愚痴になってしまうけれど、最近ゆっくり本を読んでない気がする。

本を読むにしても、仕事関係でお勉強の為ばかり・・例えば設計の為の資料であったりとか。

ちょっと精神的にカサカサしてきた。

善は急げ。
早々に仕事を切り上げて、今日は本を読もう。
うん・・そうしよう。

画:hiromichi yasuda 


2013年7月2日火曜日

図書館で資料を探していると・・・

設計の為の資料集めで、図書館に立ち寄る。
幾つか、めぼしい資料が見つかったので、コピーを取り終えて一休みしているとき、
ふと背表紙が気になって、本に手を伸ばした。
それは、アルバロ・シザが、ル・トロネ修道院を訪ねる話だった。

最初は週刊誌でも眺めるようにパラパラめくっていたが、シザのスケッチのページで、手が止まった。

ル・トロネ修道院の外構のスケッチで、歩道の先にレンガの塀など、何気ない小道風景がパースペクティブに描かれていて、
何度か見た事があるヨレヨレした線のスケッチだけれど、そこには道の広さや塀の高さ、厚みなど諸々の「寸法」が記入されていた。

つまり、実測図!?

想像するに、そこはシザにとって心地よい空間だったのだろう。
そして、それを実測する事で頭に焼き付けていたいたのだろう、、、と思った。

画:hiromichi yasuda







第三海堡の遺構

先日、友人らと第三海堡の遺構を見に出かけた。

第三海堡とは、明治から大正にかけて、首都防衛のため作られた人工島。完成後は島の上に、砲台や兵舎、見張り台などが複数建設された。

その砲台や兵舎が、コンクリート製のトーチカで、ちょっとやそっとじゃびくともしない、分厚いコンクリートの塊。
追浜に陸揚げされたトーチカが、建築的に面白いというので見に行ったのです。

実際、コンクリートの量感と、そのロマネスク教会を思わせる様な内部空間(アーチと光のパノラマ)はとても面白かった。

ちなみに、第三海堡は面積は約34,000m²の人工島で、1892年8月起工、1921年完成。
完成までに約30年もかかった。
ところが・・・・・1923年の関東大震災で、島自体が液状化により、水没。

巨大な予算をかけた首都防衛の要塞は、僅か2年で使い物にならなくなってしまう。