先日、建築・歴史家の鈴木博之さんが亡くなられた。
68歳は、まだ若い。
建築の歴史を調べる時には、まず鈴木さんの著書を読む事が多かった。
知識の量とバランス感覚とで、個人の好みを超えて最も信頼出来る一人だと思っていたから。
時代が変わろうとするとき、昔の人はどうしてたんだろ?と悩んだときは、鈴木さんの著作を読む事にしていた。
記憶に残っているのは、バブル期の座談会で、鈴木さん、中川さん、藤森さん、布野さん、松山さん、三宅さんという、当時の歴史家としては錚々たる面々で行われたもの。
戦後の空白期(1945〜50頃)についての話になった時、鈴木さんは、芸術家(建築家も含めて)はあるビジョンを提示して現実を乗り越える人達。でも戦災は、圧倒的な破壊によって、現実がビジョンを追い越してしまった、それが戦後の空白期の意味だ・・・と言っていた。
僕がこの座談会を読んだのは、東日本大震災の直後で、これから建築家は何をしたらいいんだろう?と、みんなが悩んでいた時期だったから、この鈴木さんの発言がとても腑に落ちた。
鈴木さんには、東日本大震災後のこれからについてもっともっと発言して欲しかったからとても残念です。ご冥福をお祈りします。
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