環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2013年8月12日月曜日

廃屋について

限界集落と呼ばれる所には、廃屋がいっぱいある。
人が住まなくなると、木造の建物は一気に老朽化してしまう。
十数年で朽ちて倒壊し、やがて土に戻っていく。

ところで、廃屋がそのような末路をたどることは、否定的な事かと言うと、どうも違う様な気もする。

紀元前の石造建築が未だに残っている西洋と比較すると判り易い。
新品がやがて朽ちていく風景を何千年も見てき僕らの祖先は、その全てを自然観として捉えていたのだと思う。

伊勢神宮、新正殿のピカピカの社の隣に、旧正殿の茅葺き屋根が朽ちて苔や雑草が生えている様を見た時に、それを思った。

ピカピカの新品と、それがやがて朽ちていくことの両方を受け入れていたからこそ、1000年以上も建替えを続けてきたのだろう。
画:hiromichi yasuda


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