環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2015年6月11日木曜日

武藤章さんと工学院の図書館

今年の4月から週に一度、工学院大学の八王子キャンパスに出かけている。
建築学生を教える為。

八王子キャンパスは建築の宝庫というか、著名な建築作品がゴロゴロしているのだけど、その中ではちょっと地味目な「図書館」がある。

この図書館、最近知ったのだけど、武藤章さんの設計である。
武藤章さんといえば、北欧の建築家アールト研究の第一人者であり、アールトの影響を最も受けた建築家の一人、である。

図書館は、大学の規模からすると小降りな印象だけれども、室内に入ると、かえってそれが人間的なスケールというか、親密性のある空間になっていた。

中でも、トップライトが巧みで、デスクの上を優しく照らしている。本の森で人の居場所だけをぼんやり照らしている柔らかい空間、である。

暖房器具、照明器具、家具など、その多くがオリジナルで丁寧にデザインされている。心遣いがあまりにも繊細だから見逃してしまいそうになるけれど、注意深く見ていると、徐々にデザインの意図を理解することになる。

この図書館、取り壊しが決ったそうである。・・・残念。








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