環境デザイン・アトリエ

横浜の建築家からのメッセージ。
日々感じた事を綴ります。

2015年5月24日日曜日

山中湖にある小さな住宅

知人が設計した、山中湖畔に完成した住宅を見て来た。
東京で設計事務所をやっていた彼は、山中湖近くの土地に自身が設計した家を建てた。

以前、彼に「何故、東京を引払って山中湖に?」
と、率直に疑問をぶつけたことがある。

彼の説明によると、奥さんがアトピーに悩まされて、東京での生活が大変になったそうだ。結婚当時、東京での生活を決めた彼は、それが少なからずアトピーの原因になっていた事を知って後悔していた。

彼は独学で調べるうちに温泉治療が良い事を知ったそうで、幾つか治療を続ける中で山中湖近くの温泉が彼女のアトピーには効果がある事を知った。
で、今回の敷地を見つけた、とのことだった。

住宅に入ると新築特有のニオイが無く、19世紀でも手に入る様な無垢の杉材、漆喰、等々の自然素材を使っていた。アトピーの原因になるような外的要因を無くすのがこの住宅では重要であったそうだ。

20坪程度と聞いて、家族3人では少し小さいかな?とも思ったけれど、丁寧にデザインされたその広さは、寄り添って生活するには悪くないスペースにも思われた。

住宅は本来、そこに住む人間の為にあり、その生活を少しでも豊かに、そして幸福にする為の器である、という当たり前の事を、彼の献身的な行為や設計から、身をもって知った。

水は井戸水。汚水は浄化槽浸透式。プロパンガスと新たに引いた電気、十数分歩かないと隣家が無い環境で、改めて彼の覚悟というか意志を感じて帰ってきた。
画:hiromichi yasuda

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